今年もあと1か月を切りました。今年も1年、多くの映画が公開され、映画業界では様々な出来事がありました。
サンライズ社が選ぶ、2023年の主要なトピックスをピックアップしました。
『君たちはどう生きるか』NO宣伝戦略でも大きなヒットへ
(C)2023 Studio Ghibli
スタジオジブリ、宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』が、2023年7月公開され、大ヒットを記録しました。12月8日現在もロングラン上映が続いており、興収は86億円を突破、今年の興収ランキング4位に輝いています。
『君たちはどう生きるか』が話題になったのは、映画界の常識を覆す「NO宣伝戦略」が大きかったでしょう。公開日まで1枚のティザービジュアルと宮崎駿監督であること以外の情報は一切出さず、キャストも未発表で、予告編も作られませんでした。宣伝がまったくされないことが逆に話題を呼び、様々な意見が飛び交い、公開前から注目度が非常に高くなりました。
宮崎駿監督のネームバリューがあってこその施策かとは思いますが、非常に画期的な取り組みであったと言えるでしょう。
『君たちはどう生きるか』の「NO宣伝戦略」については、弊社コラムでも言及しています。
>>【独自調査】鑑賞者は『君たちはどう生きるか』NO宣伝戦略をどう思ったか
TOHOシネマズすすきのなど、シネコンの新規OPENが続く
※TOHOシネマズすすきの
2023年も新たらな映画館のオープンが相次ぎました。
なかでも注目の劇場は11月30日にOPENしたばかりの『TOHOシネマズすすきの』。北海道初のTOHOシネマズ直営店となります。北海道初上陸の「轟音シアター」や「プレミアムシアタ―」、そして「ドルビーシネマ」を導入。OPEN前から期待の声が溢れていました。札幌中心街の大型シネコンは「TOHOシネマズすすきの」が3劇場目。今後、既存の劇場とどういった形で棲み分けしていくのかも、注目されそうです。
この他にも、4月に大阪府門真市の「三井アウトレットパーク 大阪門真」内にOPENした「TOHOシネマズ ららぽーと門真」、7月には富山県砺波市初のシネコンであり、新業態のコンパクト型・進化形のシネマコンプレックス「イオンシネマとなみ」がOPENしています。
主要興行会社が鑑賞料金値上げに踏み切る
2023年6月にTOHOシネマズが一般鑑賞料金を1900円から2000円に値上げしました。これを皮切りに、各興行会社が続々と一般鑑賞料金を値上げ。大手シネコンチェーンは一般鑑賞料金を2000円とすることで足並みをそろえました。IMAX、4DXなどのラージフォーマットも100円値上げとなります。
一方で、学生料金・シニア料金・レイトショーなど特別料金枠は据え置くチェーンもあり、各興行会社ごとに判断が分かれています。また、大手チェーンの中でイオンシネマだけが一般料金の値上げに踏み切らず、これまでの料金を据え置いています。
値上げ理由は円安などによる機材の価格高騰のほか、特に光熱費や人件費の上昇といった運営コストの増加に対応するためとのこと。
今のところ、値上げによる直接的な来場動向は影響はあまりみられないようです。
アニメ映画が大ヒット連発!興収100億円超えが3作品
(C)I.T.PLANNING,INC. (C)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners
ここ数年のトレンドであるアニメ映画の大躍進は、2023年も健在でした。
2022年12月に公開された『THE FIRST SLAM DUNK』は、年末年始興行の主役となりました。原作者である井上雄彦が監督をつとめた本作は、作品評価も非常に良く、来場者特典の配布や応援上映、高校生限定上映など、様々な施策にトライし超ロングラン。最終興収は157.3億円、日本の歴代映画興収ランキングでは13位まで駆け上がる快挙となりました。
2023年4月公開の『名探偵コナン 黒鉄の魚影』は、GW興行を牽引し、劇場版シリーズ26作目にして悲願であった興収100億円を超える大ヒットに。最終興収は138.3億円まで積み上げました。2024年のシリーズ最新作『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』の公開も発表され、来年も話題になりそうです。
洋画では4月28日公開の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が、最終興収140.1億円の大ヒットとなりました。日本の国民的ゲームを原作に、『ペット』や『SING シング』シリーズなどを手掛けるイルミネーションが制作。ファミリーを中心に幅広く集客しました。
リバイバル上映・中規模映画でもスマッシュヒット連発
(C) 2023 by 20th Century Studios and Paramount Pictures.
『タイタニック ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター』が2月10日から2週間限定で公開され、リバイバル上映とは思えぬ大ヒットに。初週よりも2週目の方がチケットの売れ行きが良く、全国の劇場で満席が続出。小規模の限定公開ながら週末動員ランキングにもランクイン。25年前にリアルタイムで『タイタニック』を観た世代はもちろん、『タイタニック』を映画館で観ていない若い世代も幅広く集客しました。
中規模公開の作品でもヒット作が多かったのが、2023年です。
5月に公開された『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』は、全国173館と中規模公開ながら最終興収28.1億円を記録するスマッシュヒット。IDOLiSH7、TRIGGER、Re:vale、ŹOOĻの4組のグループが登場するライブを映画で再現。応援上映も行われ、盛況となりました。
11月に公開された『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、初週の週末ランキング2位発進の好成績をマーク。2週目、3週目と興収を伸ばし、リピーターも続出。高評価の口コミもあり、上映館が増えるなど快進撃を続けています。12月3日時点で興収8億円を突破。最終興収がどこまで伸びるのか、注目の一作です。
本日12月8日には『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』、22日には人気TVアニメの劇場版『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』が公開となり本格的な冬休み興行がスタートとなります。今年の年末年始興行は見どころでいっぱいです!年末年始は、ゆっくりと映画館ライフを楽しみませんか?