【追記】『ウエスト・サイド・ストーリー』の2022年2月11日(金)に公開延期となりました。当記事は、2021年9月28日時点、公開延期が決定する前の情報を元に作成されております。
来たる2021年12月10日、スティーブン・スピルバーグ監督の最新作、『ウエスト・サイド・ストーリー』が公開されます。
世界的な大人気ミュージカルを巨匠が撮るとあって、期待が高まっている方も多いのではないでしょうか?
今回はそんな『ウエスト・サイド・ストーリー』のトリビアをご紹介いたします!
原作はブロードウェイ・ミュージカル
※『ウエスト・サイド・ストーリー』Wikipediaより
『ウエスト・サイド・ストーリー』は、日本語タイトルでは『ウエスト・サイド物語』とも表記されます。
その始まりは1957年初演のブロードウェイ・ミュージカルでした。アーサー・ローレンツ脚本、レナード・バーンスタイン音楽、スティーヴン・ソンドハイム歌詞、ジェローム・ロビンズ原案です。日本でも劇団四季によるミュージカルが繰り返し上演されています。
ちなみに1961年に、ロバート・ワイズ監督&ジェローム・ロビンズ監督のコンビによって、一度映画化されています。2021年はこの初代映画版『ウエスト・サイド物語』の公開60周年にあたります。
スティーブン・スピルバーグ監督の作品はこの映画作品のリメイクということですね。1961年版の映画よりも、スピルバーグ監督版の方がよりオリジナルのミュージカルに近い内容となっているそうです。
本来の公開予定は2020年12月。ウエスト・サイド・ストーリーの楽曲を作ったレナード・バーンスタイン の没30周年記念が2020年だったため、それに合わせて公開されるはずでした。
しかし新型コロナの影響を考えて延期した結果、初代映画60周年の節目の2021年に公開することになりました。
ちなみに、1961年版映画ではアニータ役でアカデミー賞助演女優賞を手にしたリタ・モレノが、2021年版の今作にも出演することが決定しています。60年越しの出演で、どんな役を演じるのかが気になりますね。
ロミオとジュリエットのオマージュ
『ウエスト・サイド・ストーリー』は、1957年のアメリカ・ニューヨークを舞台に、ポーランド系アメリカ人とプエルトリコ系アメリカ人の2つの非行少年グループの抗争と、抗争によって引き裂かれた主役カップル・トニーとマリアの2日間の恋を描くミュージカルです。
文学に親しんだ人なら、どこかで聞いたことがあるあらすじだと思うかもしれません。実は、『ウエスト・サイド・ストーリー』はシェイクスピアの名作悲恋物語『ロミオとジュリエット』を1957年当時のアメリカに置き換えたオマージュ作品なのです。
対立する2つの勢力の男女が恋に落ち、抗争によって引き裂かれていく様は確かに『ロミオとジュリエット』を思わせるものがありますね。
ミュージカル史に残る名曲「トゥナイト」が歌われる非常階段のシーンは、『ロミオとジュリエット』の有名なバルコニーシーンをほうふつとさせます。
「ウエストサイド」とはどの辺りのこと?
タイトルにも使われている「ウエスト・サイド」とはニューヨークのどのあたりなのでしょうか?
実は「ウエスト・サイド」というそのものずばりの地名なわけではありません。ニューヨークの中心地にあるマンハッタン島を東西に分割した際に、ロングアイランド側を「イースト・サイド」、ハドソン川・ニュージャージー州側(西海岸)が「ウエスト・サイド」と呼ばれることからきています。
「イースト・サイド」は高級住宅街でした。しかし「ウエスト・サイド」には移民の多い、いわゆる貧民街が広がっていました。2つの移民系少年非行集団の対立という設定ですが、そういった当時の「ウエスト・サイド」ならではの事情がストーリーに反映されているのです。
大物が演じるかもしれなかった1961年版映画
※オードリー・ヘプバーンWikipediaより
1961年版の映画『ウエスト・サイド物語』では、リチャード・ベイマーとナタリー・ウッドがそれぞれトニー、マリア役で主演しています。
オリジナルのブロードウェイ・ミュージカル版のキャストは当時はすでに30歳前後になっており、映画版ではキャストが変更となりました。少年・少女がメインの物語なのでキャストも若さを重視したそうです。
しかし、最初から若さだけを重視したわけではないようで、主演の2人には様々なキャスト候補があげられていました。
マリア役にはオードリー・ヘプバーン、トニー役にはエルヴィス・プレスリーがオファーの候補として挙げられていました。
ヘプバーンは妊娠中を理由に、プレスリーは担当する楽曲の数やサウンドトラックが個人盤にならないことを理由に断ったそうです。
この2人が主演カップルを演じる『ウエスト・サイド・ストーリー』も観てみたかったですね。
1961年版の歌は吹替だった
※『ウエスト・サイド・ストーリー』本予告
『ウエスト・サイド・ストーリー』はミュージカルですので、様々な曲が登場します。スピルバーグ監督版の『ウエスト・サイド・ストーリー』予告編を見ても、歌とダンスのシーンが盛り込まれていることがわかります。
1961年版の映画でもたくさんの歌唱シーンがありますが、実は主演級の歌唱シーンのほとんどは演者とは別の歌唱担当の吹替となっています。ヒロイン役のナタリー・ウッドは自分の歌唱が本編にも使われると考えていたので、歌唱シーンが吹替になっていることに激怒したというエピソードが残っています。
吹替問題などで紆余曲折はありましたが、『ウエスト・サイド物語』のサウンドトラックは、当時もっとも売れたサウンドトラックアルバムとなりました。
スピルバーグ版の歌唱シーンはどうなるのでしょうか? 期待が高まりますね。
年末にかけて、洋画の大作映画が多数公開されます。昨年は数えるほどしか洋画の公開がなかった日本のスクリーンにも、洋画大作がどんどん戻ってきています。
サンライズ社コラムではシネアドに関する話題はもちろん、こういったちょっとした映画の豆知識的なコラムもどんどん掲載していきます。