
前回10月のコラムでは、配給会社は映画の「製作」から「鑑賞」までをつなぐ、映画文化の広がりを支える不可欠な存在であることを解説しました。
しかし、配給会社がどれだけ素晴らしい作品を買い付け、巧みに宣伝しても、それだけでは映画は私たちの元に届きません。
配給会社が映画の上映権の買い付けを行った後、そのバトンを受け取って実際に映画館で映画を上映するのが「興行会社」の役割です。
今回のコラムでは、興行会社とは具体的に何をしているのか? 配給会社との連携を経て、最高の映画体験が生まれるまでの舞台裏を解説していきます!
映画体験の入り口を創る「興行会社」の存在
突然ですが、いま国内に映画館がどれくらいあるかご存じですか?

2024年現在、全国にその数なんと…578館あります!
都道府県別スクリーン数(sc)で見ると、1位が東京都で412sc、
人口では愛知県が約746万人、大阪府が約877万人と大阪府の方が多いですが、スクリーンは愛知県の方が多いんです
この全国に広がる「映画館」というインフラを管理・運営し、
しかし、この「届ける」というプロセスには、
感動の映画体験を完成させる「興行会社」
興行会社は、映画の上映だけに留まらず、上映環境の整備からイベント・プロモーションの企画まで、多角的な施策を展開します。
ブッキング(番組・コンテンツ編成)
興行会社の最も戦略的な仕事が、
配給会社から「この映画を上映してほしい!」と要請があっても、
映画の中から、地域の特性や客層、競合作品の公開状況を分析し、
劇場運営
観客が日常から離れて映画世界に没入するための「舞台」
劇場運営の現場では、ボックス、フロア、コンセッション、
ボックス
チケット販売およびインフォメーション業務を担います
チケット販売のみならず、お客様からの様々なお問合せにも柔軟に対応するため劇場のことをすべて把握しなくてはならない、まさに映画館の顔役です。
ちなみに、チケット券売所をボックスオフィスと呼ぶそうです。恥ずかしながら私はこの業界に入って2年目で初めてその呼び名を知りました…。
フロア
館内案内、宣伝素材管理、清掃など、
コンセッション
映画鑑賞に欠かせない飲食(フード&ドリンク)の提供を行いま
ストア
パンフレットや映画関連グッズの販売を担います。商品の陳列、
さらには、上映作品ラインナップに基づき、
私たちが映画館で快適に楽しめるよう、劇場の至る所にお客様目

イベント・物販企画
舞台挨拶、ライブビューイング(中継)、声出し可能な「応援上映」、過去の名作を再上映する特集など、観客の熱狂や一体感を生み出すためのイベントを企画・実施します。また、映画作品のパンフレットをはじめ、上映劇場でしか販売しないグッズを含めた様々な映画作品関連の商品も手掛けています。

シアタープロモーション(シネアド/映画館プロモーション)
映画館は映画鑑賞の場所だけでなく、幅広い世代のお客様が集まる魅力的なプロモーションメディアとしての機能を持ちます。大迫力のスクリーンを活用した動画広告(シネアド)や劇場を活用したプロモーション施策が実現できます。
このように興行会社は緻密な戦略と観客ファーストのホスピタリティの両方を兼ね備えた、映画文化を支える立役者なのです。彼らの存在があるからこそ、私たちはいつでも、最新の技術と非日常な雰囲気の中で、世界中の感動と出会うことができるのです。
そして、9月のコラムでも触れた通り、2025年は日本の映画界全体が大きな活気であふれています。
2026年も注目映画が多数控えており、この活気に満ちた流れがどこまで続くのか期待が高まります!


