インタラクティブ映画とは、観客の参加によってストーリー展開が変化する上映形態のことです。
映画「ヒプノシスマイク Division Rap Battle」が日本で初めてインタラクティブ映画として上映され、興行収入15億円を突破する快挙を成し遂げました!公開から3か月以上経った現在も全国65劇場(6/4時点)で上映しており、ロングランヒットとなっています!
「ヒプマイがすごい!」という話題を聞きつけ、当社社員も鑑賞してきましたのでレポートをお届けいたします!
「ヒプノシスマイク」とは
ヒプノシスマイクとは、ももいろクローバーZなどをプロデュースするキングレコードの内部レーベル・EVIL LINE RECORDSが手掛ける男性声優18名によるラップソングプロジェクト。
武力抗争が根絶された世界を舞台に、人の精神に干渉するヒプノシスマイクを使ったラップバトルで優劣を決するという「H法案」が制定され、各ディビジョン(地区)代表のMCグループがラップバトルをし、勝った地区は決められた分の他の領土を獲得することができる、というストーリーになっています。
観客参加型 “インタラクティブ映画”とは
インタラクティブ映画は、鑑賞者が選択肢を選ぶことによって物語の展開や結末が変わる上映スタイル。
「ヒプノシスマイク Division Rap Battle」では、各ディビジョンのラップバトルの勝敗をスマホアプリを通じた鑑賞者の投票で決め、得票数が多かった選択肢に沿ってストーリーが進行し、上映回ごとに物語の展開やラップバトルの勝敗が変わるという日本初の特殊な上映スタイルとなっています。
ちなみに、本映画の物語の分岐は48通り・エンディングは全7種類あるそうです…!
いざ、鑑賞!
ヒプマイは、「イケブクロ」、「ヨコハマ」、「シブヤ」、「シンジュク」、「ナゴヤ」、「オオサカ」と6つのディビジョン(地区)に分かれ、実際の地域が舞台になっています。今回は、イケブクロ・ディビジョンの区画に位置するTOHOシネマズ池袋に行ってまいりました。
チケット記載の開始時間に入るとすでにスクリーンは8割ほど席が埋まっていました。その殆どが20・30代女性でした。
通常シネアド~映画予告編の流れは一緒でしたが、本編開始前に映画登場キャラクターがスクリーンに登場して鑑賞にあたってのアナウンスが始まります。
ここで、投票に参加するためのスマートフォンアプリ「CtrlMovie」がダウンロードできるように、スクリーンにQRコードが映し出されます。
読み込む時間として5分ほど待機時間があったのですが、その間無音だったため少しシュールな時を過ごしました。
アプリのダウンロードが終了すると、いよいよ本編スタート!
筆者は、ヒプノシスマイクは「イケメンたちがラップバトルをする」くらいの知識だったのですが、本編が開始すると、さっそく登場人物全員の紹介ラップがあったため、内容を知らない人も映画からでも楽しめるストーリー構成になっていました。パフォーマンス中は、各々ペンライトを振ったり、ときどき声を出したりと盛り上がっていました。
本作のラップバトルはトーナメント制で鑑賞者は全4回投票を行う流れでした。1回戦ごとにパフォーマンスが終了するとスマホの画面が投票画面に切り替わります。投票時間は体感10秒ほど、一度投票すると変更ができない仕様です。
↑実際の投票画面
投票が終わるとスムーズに結果発表となるため、ストーリーの流れを損なうことがなく、システムが上手く溶け込んでいて驚きました…!
スクリーン内は実際のライブビューイングに参加しているような高揚感と自身の投票が勝敗に影響を与えているという緊迫感が漂っていました。
映画終了後には「また行かなきゃ…!」「違う映画館に行ってみよう!」といった声も聞こえ、筆者自身も違うストーリー展開が気になるな…と、まんまとインタラクティブ映画の魅力に引き込まれました。
ファンの「推しを応援したい!」という推し活動と「投票によって展開や推しの勝敗が決まる」というシステムが非常にうまく合致していました。また、複数の鑑賞者の投票で決まるという必ずしも自身の願う展開にならないランダム要素の大きさに、何度も映画館に通いたいと思わせる理由が詰まっており、今回のロングランヒットに繋がっているように感じました。
シネアド視点でみる観客参加型映画の可能性
特殊な映画体験でいうと、「体感型」上映システム4DX・MX4Dがあります。映画館で4DXの技術を活用したギミック付のシネアドが流れたこともありました。
また、上映中に観客が声援を送ったり、ペンライトを振ったりする「応援上映」もあります。
映画館では静かに鑑賞するというこれまでの概念を覆し、今では応援上映もすっかり馴染み深い上映スタイルとなりました。
応援上映回では、シネアドにも声援を送る鑑賞者の姿も見られ、応援上映がシネアドの興味を引くきっかけにもなりました。
今回の映画上映を機にインタラクティブ映画はますます広がっていくでしょう。
また、観客参加型のシステムがシネアドにも応用できるようになれば、観客自らが広告に接触・体験する新たなブランド体験を作り出すことができ、映画館広告の可能性はさらに広がりを見せるのではないでしょうか。